皆さん、こんにちは。町田市の歯医者あらい歯科クリニック玉川学園前です。入れ歯を使用している患者様から「痛い」「外れる」「噛みにくい」といったお悩みをよく伺います。入れ歯は食事や会話を支える大切な道具ですが、合わない状態で使い続けると、歯茎の炎症や口内の傷、さらには噛み合わせの乱れにつながることもあります。本ブログでは、入れ歯が合わない原因を5つに分けて詳しく解説し、さらにご自宅でできる応急的な対処法や歯科医院での改善策についてご紹介します。快適に入れ歯を使い続けるための参考にしてください。
▼入れ歯が合わない原因とは?
1. 顎の骨や歯茎の変化
入れ歯を作製した当初は合っていても、時間の経過とともに顎の骨が痩せたり、歯茎の形が変わることでフィット感が失われます。特に総入れ歯では、顎の骨の吸収によって入れ歯が浮き上がりやすく、外れやすさや痛みの原因になります。
2. 入れ歯の噛み合わせが合っていない
入れ歯の人工歯が正しい位置に並んでいない、あるいは噛み合わせのバランスが崩れていると、一部の歯に過度な力が集中し、歯茎に痛みを生じます。片側で噛みやすい・噛みにくいと感じる場合は咬合不良の可能性があります。
3. 入れ歯の破損や劣化
入れ歯は使用とともに摩耗や変形が起こります。小さなヒビや人工歯の摩耗でも、噛み合わせや適合に影響を与え、違和感や痛みの原因となります。長期間同じ入れ歯を使用している場合、定期的なチェックが必要です。
4. 口内の粘膜トラブル
歯茎に傷や口内炎があると、入れ歯が当たる部分が強く刺激されて痛みが出ます。特に部分入れ歯の金属バネが頬の粘膜や歯茎に当たりやすく、赤くただれることもあります。粘膜トラブルは入れ歯そのものだけでなく口腔環境の変化によっても起こります。
5. 入れ歯のお手入れ不足
入れ歯に歯垢や食べかすが付着すると、細菌の繁殖で口内炎や歯茎の炎症を引き起こします。また、清掃不足により入れ歯の表面がザラつき、摩擦が増えることで口内に痛みが出やすくなります。毎日の正しい清掃が不可欠です。
▼合わない入れ歯で今すぐできる対処法
【自宅でできる応急処置】
◎入れ歯安定剤の使用
ドラッグストアなどで販売されている安定剤を一時的に使用することで、入れ歯の浮き上がりやガタつきを軽減できます。ただし、根本的な解決にはならないため、あくまで受診までの応急処置として利用しましょう。
◎入れ歯の使用時間を調整する
強い痛みが出る場合は、長時間の装着を避け、食事の時のみ使用するなど負担を減らします。ただし、全く使わない状態が続くと適合がさらに悪化するため注意が必要です。
◎口内を清潔に保つ
入れ歯を毎日外して専用ブラシで清掃し、就寝時は外して乾燥を防ぐために水や専用洗浄液につけておきます。口内もブラッシングやうがいで清潔に保つことが大切です。
【歯科医院でできる対処法】
◎調整・リベース
痛みが出る部分を削って調整したり、入れ歯の裏側に新しい材料を盛り足す「リベース」という処置でフィット感を改善できます。
◎作り直し
骨や歯茎の変化が大きい場合や入れ歯の劣化が進んでいる場合は、新しく作製する方が快適に使用できます。
◎インプラントやブリッジの検討
入れ歯がどうしても合わない、快適に使えないという患者様には、インプラントやブリッジといった他の治療法も選択肢となります。歯科医師と相談し、ご自身に合った方法を選びましょう。
▼まとめ
入れ歯が合わない原因は、顎や歯茎の変化、噛み合わせの不具合、入れ歯の劣化、粘膜トラブル、そしてお手入れ不足など、多岐にわたります。合わない入れ歯を無理に使い続けると、歯茎の炎症や口内の傷、全身の健康にも影響する恐れがあります。ご自宅でできる応急的な対処法はありますが、根本的な改善には歯科医院での調整や作り直しが必要です。入れ歯に違和感を覚えたら早めに歯科を受診し、快適な口腔環境を取り戻しましょう。
【執筆監修】
医療法人社団プレジールあらい歯科クリニック玉川学園前
歯科医師 院長 新井容太