親知らず(おやしらず)とは、奥歯の中で最も後ろに生えている歯で、永久歯の中で最後に生えてくる歯です。永久歯は通常12歳前後で生え揃いますが、親知らずが生えてくるのは、だいたい10代後半から20代前半くらいで、他の歯よりもかなり遅めです。親に知られることなく生えてくる歯なので、親知らずと呼ばれているそうです。
親知らずの生え方は、人によってさまざまです。生えてくる時に、既に痛みを伴う場合もありますし、何の問題もなく4本生えそろう人もいます。また、下は親知らずが生えているのに、上は生えなかった、ということもありますし、既に生えている奥歯の後ろからほんの少し覗くようにしか生えていないという人もいます。そのため、親知らずについては、治療法も様々です。一方で、一番奥の歯である親知らずは、歯ブラシが届きにくい場所なので、歯垢がたまりやすく、虫歯にもなりやすい歯です。また、口臭の原因となる場合もあります。そのため、本来あってもなくても良い歯であると考えて、抜歯をするというのが一般常識のようになっているのです。当院にも、「痛くないけど親知らずを抜いてほしい」と来られる方もいますが、親知らずの治療法は抜歯だけとは限りません。親知らずは、虫歯になった場合、治療しにくいという理由で抜歯を勧める歯医者がいる一方で、親知らずが健康な状態で、また、他の歯にも悪い影響を与えていなければ、抜く必要がないと考える歯医者もいます。
しかし、虫歯になった場合は、抜歯することが多いのも事実です。上下どちらかだけ親知らずが生えている時は、噛み合わせの問題を考えて、抜歯する場合もあります。左右どちらかだけ生えている時も、左右のバランスを考えて、抜歯に至ることもあります。
また、親知らずは、斜めに生えたり、横向きに生えてくることもあります。また、先端だけ見えていて、生えきっていない親知らずだと、レントゲン写真を撮らないとどのように生えているのかわからない場合もあります。そのような親知らずを抜く場合は、歯茎を切除して、抜歯後縫い合わせるという、大掛かりなものになります。抜歯後、頬がはれたり、発熱が起きたりすることもあり、手術と同じほど大変な人もいます。親知らずの状態によっては、口腔外科を取り扱う大きな病院で検査、治療をしてもらった方がよいでしょう。