皆さん、こんにちは。町田市の歯医者 あらい歯科クリニック玉川学園前です。インプラント手術を検討されている患者様からよくいただくご質問のひとつが「手術の痛みや腫れはいつまで続くのか」という点です。インプラント手術は歯茎や顎の骨に外科的な処置を行うため、ある程度の痛みや腫れが生じるのは自然な反応です。しかし、その程度や続く期間には一定の目安があります。また、術後の過ごし方や注意点によっても回復のスピードは大きく変わります。今回は、インプラント手術後の痛みや腫れのピークと、患者様に知っていただきたい術後の注意点について、歯科医師の立場から詳しく解説いたします。
▼インプラントの寿命は?何年持つ?
インプラントは人工歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。チタン製のインプラント体は生体親和性が高く、骨と強固に結合するため安定性に優れています。しかし、インプラントの寿命は無限ではなく、平均して10〜15年程度といわれています。
寿命を左右する要因はさまざまです。たとえば、インプラント周囲炎(インプラント周囲の歯茎や骨に炎症が起きる病気)や、強い噛み合わせの力、歯ぎしりなどが原因で寿命が短くなることがあります。また、全身疾患(糖尿病や骨粗しょう症など)がある場合も注意が必要です。
一方で、患者様が日常的に正しいケアを行い、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けていれば、インプラントは20年以上問題なく使えることも珍しくありません。つまり、「インプラントの寿命は何年持つか?」という問いには、平均値として10〜15年と答えられるものの、日々の生活習慣とアフターケア次第で大きく変わる、と言えるのです。
▼インプラントを長く使い続けるための5つの秘訣
1. 正しい歯磨きとセルフケアを徹底する
インプラントを長持ちさせるためには、天然の歯と同じように丁寧な歯磨きが欠かせません。特に、歯とインプラントの境目や歯茎の周りには汚れが溜まりやすく、インプラント周囲炎の原因になります。歯間ブラシやフロスを併用し、細かい部分まで清掃することが重要です。
- 定期的な歯科医院でのメンテナンス
セルフケアだけでは限界があります。インプラント周囲の状態や噛み合わせをチェックし、専用の器具でクリーニングを受けることで、寿命を延ばすことができます。通常は3〜6か月ごとの通院が目安です。
- 噛み合わせや歯ぎしりのコントロール
強い噛みしめや歯ぎしりはインプラントに過剰な負担をかけ、破損や骨吸収を招く可能性があります。必要に応じてマウスピースを使用し、就寝中の歯ぎしり対策を行うことも寿命を延ばすために有効です。
- 全身の健康管理を意識する
糖尿病や喫煙習慣は、インプラントの寿命に大きく影響することが知られています。血糖コントロールが不十分な状態では、インプラント周囲炎のリスクが高まります。また、喫煙は歯茎の血流を悪化させ、治癒や骨との結合を妨げるため、禁煙は強く推奨されます。
- 無理な使い方を避ける
インプラントは強固な構造を持っていますが、「硬い食べ物を前歯で無理に噛み切る」「歯を道具代わりに使う」などの行為は避けるべきです。天然歯以上に大切に扱うことが、長持ちの秘訣といえます。
▼まとめ
インプラントの寿命は平均すると10〜15年程度といわれていますが、正しいケアと定期的なメンテナンスを行えば、20年以上快適に使えるケースも少なくありません。寿命を延ばす秘訣は、日々の丁寧な歯磨き、歯科医院での定期検診、歯ぎしり対策、全身の健康管理、そして無理な使い方を避けることです。インプラントは「入れて終わり」ではなく、その後のケア次第で大きく寿命が変わる治療です。長く安心して使い続けるためにも、ぜひ一緒に取り組んでいきましょう。
【執筆監修】
医療法人社団プレジールあらい歯科クリニック玉川学園前
歯科医師 院長 新井容太