歯を磨かなくても虫歯にならない人がいます。体質によるものなのか、ほかに理由があるのか、疑問を抱いている人もいるでしょう。
歯の強さといった遺伝の影響も多少ありますが、普通の人よりもミュータンス菌と呼ばれる虫歯菌が少ないことが理由の一つです。
ミュータンス菌にもっとも感染しやすいのは、1歳7か月~2歳7か月ごろとされています。
この時期に、ミュータンス菌のエサとなる糖分を取る機会や、大人から移される機会が少なかった人は、虫歯になりにくい歯を維持することができるのです。
ミュータンス菌が、糖分をエサにして酸を作りだすことにより虫歯ができます。ゆえに、もともとの原因が少ない人は、虫歯になるリスクも減るのです。
その他に、唾液の量と質、噛み合わせのバランスも原因となります。
唾液には、口の中を洗い流して虫歯菌が増殖しないようにしたり、殺菌したりする作用があります。
口の中は食後、酸性状態になるのですが、唾液の作用で中性に戻し、歯が溶けないようにする働きもしています。
また、酸によってわずかに溶けた歯のエナメル質を、再石灰化によって元に戻す働きもしているのです。
ところが、唾液量が減ってネバネバしてくると、口内が洗い流されなくなるため、虫歯菌が増殖してしまいます。
唾液の減少により、食後の口の中がなかなか中和されなくなって、酸性状態が長引くことにもなるのです。
そのことから、歯のエナメル質が酸によって溶かされる時間も長くなるので、再石灰化が間に合わなくなります。こういったことが原因で、虫歯ができてしまうのです。
噛み合わせのバランスも大きく影響しています。例をあげると、上下の前歯であまり噛まない人は、奥歯の負担が大きくなります。
すると、通常よりも大きな負担が奥歯の表面にかかるので、歯のエナメル質にひび割れが生じてしまいます。
歯のエナメル質に生じたひび割れが原因となり、虫歯になってしまうのです。奥歯だけではなく、噛み合わせの負担が普通よりも大きな歯は、虫歯になりやすいというわけです。
歯を磨かなくても虫歯にならない人は、歯医者に行く機会が少なくなります。そのため、歯に異常が起きていても気づきにくくなります。虫歯が無くても、歯石を取らずに放置してしまうと、歯周病になってしまいます。
このようなケースは少なくないので、たとえ虫歯にならないとしても、歯医者で定期検診を受けることをおすすめします。
歯に異常が起きていたとしても、早期であれば短期間で治療が終わります。早期発見、早期治療を心掛けてくださいね。